クオリティの高いネットワークを考える

現在のスピーカーシステムは、低音部がALTEC 803B+ユートピア製ボックス、高音部はTAD TD-4001+マクソニックHS301です。416-8Aを手に入れたことでネットワークの見直しをすることにしました。

ネットワークを作るにはいろいろな問題をクリヤーする必要がありますが、その中でもクロスオーバー周波数をいくらにするかはクオリティーを大きく左右する重要なポイントだと思います。
高音部のTAD TD-4001+マクソニックHS-301では、600Hzを中心にして、下は400Hzから上は800Hzまで、幅広く対応ができると思っていますが、400Hzでは416-8AがTD-4001に負けて音のつながりに難があるようですし、800Hzでは解像度が落ちて2インチドライバーを使う意味がなくなります。とりあえず音のつながりと解像度を考え、クロスオーバー周波数を600Hzに決めました。

さて、ネットワークの構成です。定抵抗型 6dB/oct、12dB/oct -3dBクロス、12dB/oct -6dBクロス、18dB/octなど色々考えられます。今までの経験から、6dB/octは遮断特性が悪く音の濁りやリアルさの点で好きになれません。現用のネットワークいである12dB/oct -6dBクロスは、どうも音が平面的で密度の薄さが気になっていました。18dB/octは試したことがないですが、素子数が倍になり、そこを信号が通ることが気になります。

ここは、まだ試したことがない定抵抗型12dB/oct -3dBクロスのネットワークで、クロスオーバー周波数は600Hzでいこうと決めました。

【現用のネットワーク】

416-8A-1

現用のネットワークは自作でクロスオーバー周波数は570Hzの12dB/oct-6dBクロスとなっています。インピーダンス16Ωで設計したものなので、インピーダンス8Ωの416-8Aではそのまま流用ができません。

定抵抗型12dB/oct -3dBクロス 2ウェイネットワークの設計

ネットワークの構成は定抵抗型12dB/oct -3dBクロス、クロスオーバー周波数600Hzに決まりましたので、それぞれユニットのインピーダンスを調べます。

ALTEC 416-8Aの公称インピーダンスは8Ω、416-8Aをユートピア製ボックスに取り付けた場合のインピーダンス特性はどうなっているのか。実は残念ながら測定器を持っていないのでよくわかりませんが、オーディオ雑誌の416-8A+350?バスレフ箱のデータによりますと、40~60Hzの間にインピーダンスの大きな山があり最高で60Ω以上になっているようです。また300Hz付近の7.5Ωを最低として周波数が上昇するごとにインピーダンスも徐々に上昇して2000Hzでは20Ω近くになるようです。
抵抗7.5Ωとコンデンサー25μFを直列にインピーダンス補正をした結果も載っていましたが、それによりますと、インピーダンスは、ほぼ7.5Ω付近で一定化されるようです。

一方、TAD TD-4001の公称インピーダンスは16Ω、TD-4001+マクソニックHS-301のインピーダンス特性も雑誌に載っていました。だいたい10Ω~20Ωの間で変動しています。これを416-8Aの補正値の7.5Ωにあわせて補正すれば、ユニットのインピーダンスを揃えることができることになります。

クロスオーバー周波数は600Hz、各ユニットのインピーダンスは7.5Ωと決まりましたので、ネットワーク定数が算出できます。

計算式は次のようになります。

   L=7.5Ω÷(√2×π×600Hz)≒2.8mH

   C=1÷(2√2×π×600Hz×7.5Ω)≒25μF


定抵抗型12dB/oct -3dBクロス 2ウェイネットワークの製作

回路設計が出来上がりましたので、必要なパーツを集めます。

コイルはオーソドックスに空芯を使うことにしました。空芯は鉄芯入りに比べ直流抵抗は多くなりますがひずみの点で有利です。2.8mHなので直流抵抗もそれほどではないと踏みましたが、できれば太線で無酸素銅のコイルがあればいいですが・・・
ネット通販でいろいろ探しましたが2.8mHをなかなか見つけることができません。そんな中、コイズミ無線でFOSTEX L2.8eという空芯コイルを見つけました。しかも価格が3,234円と非常に安い。どうしてこんなに安いのか少し不安になりましたが、他にありませんのでこれに決めました。

次に、コンデンサーもクォリティに関してかなり重要なパーツです。これまで色々試してきてムンドルフのフィルムコンデンサーMUNDORF SUPREMEが音がよいのがわかっています。これにしたいのですがとても高価で手が出ません。
ネットでダイトンのフィルムコンデンサーが安くて音がよいと評判ですので、これを使うことにしました。これもコイズミ無線で容量25.0μFが1,053円でありました。これもかなり安いので不安要因ではあります。

アッテネーターは現用ネットワークからの流用で、タンゴのトランス式アッテネーターSA-300です。VRや固定抵抗を使って減衰させる方法もありますが、今までの経験から採用できません。音質のクオリティー考えると高価になりますがここは絶対にトランス式にすべきです。

補正用の巻線抵抗7.5Ωは手持ちを使います

【完成したネットワーク】

416-8A-3

部品を接続する端子を圧着してしまったのは失敗でした。簡単に部品の交換が出来なくなりました。

12dB/oct -3dBクロス 定抵抗型ネットワークの音質

さて、ネットワークが完成しましたので、早速ヒアリングテストです。
まずは現用のシステムにそのまま接続して聴いてみました。
803Bのインピーダンスは16Ωですが、7.5Ωにインピーダンスを変換しますので、現用のシステムでもそのまま使えるはずです。
音が出た瞬間「このままでいいじゃん!」て感じです。しかしです、いつも音の聴き始めはこうなんですよねー。最初はよく聴こえるものです。ここはじっくりと聴いて判断します。歪感のなさや分解能などのクオリティは、現用の12dB/oct -6dBクロスより上のようです。しかし聴き続けるうちに、高音が抜け切らない感じの不満が出てきました。

次にウーファーを416-8Aに交換して聴いてみました。同じアルテックの416系のウーファーですので、音質にほとんど変化はないようですが、低音が若干盛り上がって聴こえます。アッテネーターを-10dBから-9dBへと1dB上げてバランスが取れました。現用の803Bは減磁して感度が落ちていたのでしょうか?

3~4日間聴き続けて、現用のネットワークより歪感、分解能、リアリティーなどクオリティが上であるという感じは変わりませんが、エージングをしても高音の抜けは改善されませんでした。

 

【高音部のコンデンサーを交換】

416-8A-3

高音部のコンデンサーをダイトンに変えて現用のネットワークに付けているムンドロフの SUPREME10μFとフォステック15μFのパラに交換しました。

高音部のコンデンサーを交換した場合の音質

抜けの悪さの原因は高音部に使っているダイトンのコンデンサーにあると判断し、コンデンサーを交換することにしました。
現用のネットワークには、ムンドロフの SUPREME10μF(これは高価ですが音のいいコンデンサーです)、とフォステック15μFを付けていましたので、パラればちょうど25μFになります。これに交換してみました。

やはりコンデンサーを交換すると音質はゴロッと変わってきますね。高音が抜け切らないような感じは解消し、繊細感、リアル感がでてきました。できればすべてのコンデンサーをムンドロフにしたいところですが、容量が大きいのは高価で手が出ません。

【ネットワークの音質を確認】

416-8A-3

そこそこクオリティのあるネットワークであると自負していますが、これからも改善をしていきます。

結論として定抵抗型12dB/oct -3dBクロス ネットワーク方式は、私的にはほかのネットワーク方式より音質が優れているように思えます。

これからクロスオーバー周波数やコイル、コンデンサー等を変更しながら、更なるクオリティの向上を目指します。

【その後改善を繰り返し、現在のネットワーク】

416-8A-3

出てくる音を聴きながら改善を施した、現在使用中のネットワークです。

低域の416-8Aのインピーダンスが7.5Ωより下回っているようですので、インピーダンス補正を7Ωに変更しました。またコンデンサーをAEROVOXの28μFに交換しました。
AEROVOXはビンテージコンデンサーですが、使ってみてその音のよさに驚きです。0.5μFのスチロールコンデンサーをパラることで、更に分解能やエネルギー、トランジェントなど満足できるものに仕上がりました。

オーケストラの弦やブラスの響きがかなり本物に近くなり、自己満足に浸っております。