2A3プッシュプルアンプの製作

真空管アンプの基本というべき2A3プッシュプルアンプの製作を思い立ちました。腰痛もちで何度もギックリ腰に襲われる私にとって、やはり重いアンプは苦手です。今回はモノラル構成のアンプにして軽量化を目指しました。
トランス類は「無銭と実験」の観点からいずれも中古品です。電源トランスはノグチのPMC150M、チョークは山水のC-5-200、出力トランスはタンゴXE-60-5を選びました。

【トランスや真空管を乗せて配置を考える】

WE91B

細長のアルミ製のシャーシに、当初はドライバートランスを搭載する予定でしたが残念ながらスペースが取れません。真空管を一列に並べ、我が家のラックを想定し、電源端子や入出力端子は右側の上部に配置し、電源スイッチは左側上部にしました。重量のバランスや放熱、見た目を考慮し配置を考えましたが、もっと良い配置があったかもですね。

【2A3プッシュプルの回路図】

回路図

2A3PPの回路図は「無線と実験」誌やインターネットなどに数多く掲載されています。上記の部品配置等を勘案して回路を検討しました。初段部はSRPPによるカソード結合型で、これはほとんど標準化された回路です。PPアンプのドライブ方法もアルテック型やウイリムソン型など色々ありますが、バランス的にムラード型(カソード結合型)にしました。
2A3を用いるのに自己バイアスか固定バイアスにするのか迷うところです。性能的には歪みや出力の点において固定バイアスが優れているといわれています。ただし2A3の安全性からは、プレート電流の増加に対して一種のブレーキになる自己バイアスの方が優れているとのこと。今回は安全性をとって自己バイアスにしました。後々、音質が納得できなかったら、固定バイアスに改造するかも知れません。

【シャーシに配置図のシートを貼り付ける】

シャーシ

シャーシの寸法はW44×D16.5×H5cmと細長のアルミ製。CADソフトパソコンで配置図面を作りました。CADは正確な図面を書くことができるので、手書きするよりは数段楽です。
図面を透明シートに印刷してシャーシに貼り付けました。貼り付けたら早めにシャーシを加工したほうがいいようです。シーをはがす時に糊が残って厄介になりました。

【シャーシの加工】

部品の配置

シャーシの加工をしました。シャーシのアルミ厚は1.5mmなので加工は比較的楽でした。今までの苦い経験から、穴をあけた後に部品が取り付けられるか一つひとつ確認をしました。これをしないと塗装後にシャーシを再加工しなければならないハメになります。

【塗料】

配置図面

アルミはそのままでは塗料が付着しにくいので、下塗りのメタルプライマースプレーを使います。塗料はシルバーのハンマートーンにしました。

【シャーシの塗装】

加工塗装

塗装は何度も実践してコツをつかむしかないようです。塗装する前に耐水ペーパーで磨き、きれいに水洗いをし、乾いてからメタルプライマースプレーで下塗りを2度しました。その後よく乾かしてからスプレー塗料を吹き付けしました。
スプレーを吹き付けるときにちょこまか動かしながらやるのはいけないようです。ゆっくりと動かしながら吹き付けるのがコツのようです。前に失敗したことですが、ハンマートーンの塗料は1度塗りが原則です。2度塗りをするときれいなハンマートーンになりません。今回はハンマートーンがきれいに浮き出てうまくいきました。

【部品の取り付け】

部品取付け

今回は塗装前に部品が取り付けられるか確認をしていたので、修正する箇所もなくぴったりと取り付けることができました。自己バイアス用の抵抗付近が込み合うような感じになってしまいました。

【配線とテスト】

配線はらわた

ワイヤーは半田付きの良い物を使わないと配線に苦労します。それに配線の見た目も大切ですね。モノラル構成ですので2台交互に配線をしていきました。配線を済ませ、誤配線がないかを確認してから電源の投入です。すぐ各部の電圧を確認しましたが、各部とも正常な電圧が出ていましたのでホッと一安心です。
ところがです、実際にスピーカーにつなぎますと雑音が大きいのです。当初から雑音が出るかも知れないと予想はしておりましたが、ここまで雑音が大きいと気落ちします。この雑音の原因の見当は大体付いています。初段の6SN7のヒーター6.3Vは雑音を避けるために、普通片線をアースに落としますが、初段がSRPPでヒーターとカソード間の電圧が100Vを超え耐圧ギリギリですので、ヒーターの片側を接地せず浮かせています。雑音の原因は多分ここでしょう。

【ヒーターバイアス回路を追加】

配線はらわた2

雑音を抑えるためヒーターのバイアス回路を追加しました。これは+50~70Vの電圧をヒーター回路に加えて雑音を取る方法です。これの効果は絶大でした。雑音はまったく感じません。やはり手抜きはいませんね。後はハムアランサーの調整で終わりです。

【完成後のヒアリング】

ロシア製

2A3も6SN7も真空管は現代管のエレクトロハーモニクス製です。私としては、真空管はなまじビンテージ管を使うより新しい物を使ったほうが安心と思っています。(経験から、中国製だけはいまだに信用できていませんが・・・)
色々なCDを聴きましたが、ウーンどうも感心しません。NF量が多すぎるのか線が細く躍動感がない感じで、出力トランスのタンゴXE-60-5のよさを引き出していません。NFの抵抗をはずして無帰還にしてみました。これがなかなかいい感じで、管球マニアのひとつ透明感のある柔らかさという矛盾した音に近づいたような音に思えます。
1月近くこの状態で聴いていましたが低音のダンピングが気になり、最終的にNF量3dBと少なくかけてよしとしました。